SAKUHO, NAGANO
長野県佐久穂町
畳の上に大の字で寝転んで
天井を見上げてみてください
背中に伝わる少しひんやりした畳の感触
遠くに聞こえる葉の擦れる音
頬をやさしく撫でる風
歴史を重ねたいくつもの木材が
織りなす木の匂い
日常から解き放たれ
少し時間がゆっくりと過ぎていくのを
感じることができるでしょう
長野県佐久穂町穂積

リノベーションに際しては、使えるものはできる限りそのままに、当時の佇まいを損なわないよう、丁寧にリノベーションしました。昔ながらの素材が持つ質感、梁や建具、土壁、そして手仕事の痕跡――それぞれに刻まれた時間の重みが、この建物にしかない味わいを生み出しています。

マルト彌八郎を含め、八千穂駅周辺の建物群の礎を作ったのは黒澤家初代利左衛門という人物です。彼は江戸時代末期から明治にかけ、生糸の卸売から財をなし、当時は何もなかったこの地一帯を購入しました。その後銀行業、呉服業、酒造業、味噌醤油醸造業、薬品卸売業をと事業を拡大、5人の息子に引き継ぎました。現在に続く八十二銀行、小海線(旧佐久鉄道)の設立にも黒澤家が大きく関わっています。当時はこの場所に来ればなんでも揃う地域の中心地でした。マルト彌八郎の「マルト」は黒澤家の屋号です。マルは太陽、トは昇る、という旭日昇天を意味し、事業の繁栄を祈って名付けられました。